sin天界139歌声1

聖歌隊に選ばれた者たちとは別に、巫女には讃美歌を合唱するお務めもあった。

外部の者に聞かせる意外にも、朝の清掃の後、聖堂で皆が揃って歌を捧げる。

そして

少人数のパートは聖歌隊が必ず努めると言うわけでもなかった。

当然グルーとなって特別な位置に整列するが、その横にはさらに一団が作られ、少人数でソロのパートを担っていた。

聖歌隊の予備軍だともささやかれる一団。

だが、メンバーの変更が頻繁で、歌声を確かめられているのだと囁かられていた。

サトがいないわね。

本当だわ、珍しい。

巫女たちがしザワつく。

サトの美しい歌声は知れ渡っていて、聞きたがる者が多かった。

本当に不思議な子

横に立つサトをチラリと見る。

外された事に対して時に落ち込んでいる風でもない。

目立つのが嫌いだから、却って好都合だったかもしれないけれど、これはこれで騒がしい事になりそうだった。

どうかした?

別に。

ザワつきの原因が本気で分からないのか、不思議そうな表情。

だが、そんな様子も、巫女長が姿を表して一変。

一気に静まり返っていた。

ローザ

朝一番に知らせを受けてその部屋に向かっていた。

気鬱になる朝の合唱を公然と欠席出来て嬉しい反面、重い気分にも襲われる。

面会の間に行くと、そこに思った通りの人物の姿があった。

お久しぶりでございます。

元気そうで何よりだ。

はい。

不自由はないか?

いえよくしていただいておりますが。

なんだね。

佇まいを直して父上様に向き直った。

シェアライン様は、あまり父上の権威に興味がないご様子です。

はあ仕方がないだろう

彼女は何と言っても巫女長殿だ。

先帝の治世から信頼が厚く、現在の天帝におかれては母親以上の影響力をお持ちだ。

不興を買わないように気をつけなさい。

はい。

たかが巫女長ごときに頭が上がらない?

情けない父親の言葉に呆れていた。

それで本気で王妃の座を狙えるおつもりか。

組長も他の者をやけに気に入っていて私にはどうしようもございません。

組長が気に入ってる?

もしや、アト殿の事かね?

はい、後ろ盾のないモノを贔屓にしておられます。

後ろ盾がない?

何故そのような者がここにいるのだね?

どういう経緯で入ったかは存じません。

もしや名のある方の娘なのでしょうか?

ふーん、どうだろう名前は何と申すのだ?

サトです南から来たと申しておりました。

南か奇妙だな。

奇妙?

いや、あちらでそんな話は聞かないが一応調べてみよう。

よろしくお願いいたします。

だが、お前は自分なりの成果を出さなくてはならんぞ。

成果ですか?

聖歌隊に入りなさい。

そうしなければ、天帝へのお目見えはかなり先になってしまうぞ。

まだ、お気に入りがおらぬから良いが、うっかり仕える者がという事も考えられる。

相変わらず、お遊びが盛んなのだろうか?

勧められれば拒まないが、一度っきりだと聞いている。

そんなモノチャンスになるわけがなかった。

何より、天帝には覡がおられない。

これはとてつもないチャンスなのだ。

分かっているな?

そなたの望むものが?

はい。

ローザ。

私は、姫巫女以外の座はいりません。

そうだ。

必ずや、姫巫女に選ばれなくてはならない。

よいな。

はい。

姫巫女?

そんなモノ通過点でしかない。

私の目的は王妃であり次代の天帝の母だ。

その為に邪魔なものを排除しなくてはいけなかった。

父との面会を終え、自分の棟に戻ると意外な知らせが待っていた。

どう言う事?

さあ?

同質のものが顔を見合わせて理由が分からないと

サトくらいなら、他にもいるって事じゃないかしら?

今日の合唱で、サトが重要ポジションのパートから外されていたらしい。

どういうこと?

いよいよ聖歌隊に入る審査を受けるかと思っていたのに

そんなに気にしないで結局は大したことはないって事なんでしょ。

そうよね。

じゃあサトは流石に悔しがったでしょう?

え?

二人とも顔を引きつらせて黙った。

まさか平気だったの?

あの子変わってるのよ。

そうよ、相手にするだけ馬鹿を見るわ。

コーラスでもハズされたわけだし、放っておきましょうよ。

放っておくって何?

私は別に気にしてないわ。

イライラする。

余裕なのは、もしかしたら大きな後ろ盾がいて涼しくしていられるのかもしれない。

あの子何も考えてないんだと思うわよ。

そうよ、聖歌隊も本気で入る気がないみたい。

目立つのが嫌いらしいわ。

目立つ?

あんな子大人しいし、目っだったりしないわ。

それなのに、妙に神経に引か掛かってくる

一体何だと言うんだろうか?

言いしれない苛立ちに神経を逆なでされる。

どういうわけだか、サトが必ず自分の進む前に立ちはだかってくるイメージしか湧いてこなかった。

広告を非表示にする