恥ずかしいでも解決したい探偵が悪用したネット広告の裏技

恥ずかしいでも解決したい探偵が悪用したネット広告の裏技

暴れ猿

2017/07/3105:59

恥ずかしいでも解決したい探偵が悪用したネット広告の裏技アダルトサイト料金請求の被害者心理巧みに突く

衝撃事件の核心

201773105:30

突然、アダルトサイトから高額な利用料金を請求されたら。身に覚えがあってもなくても不安になり、解決方法を探そうとするかもしれない。そうした心理につけ込んだ悪辣あくらつな詐欺グループが摘発された。アダルトサイトとのトラブル解決をうたって契約料名目などで現金をだまし取ったとして、京都府警は4月、詐欺容疑で探偵業者の男らを逮捕した。後に同罪で起訴され、現在は公判中の男らは、インターネットで検索したキーワードに関連して画面に表示される検索連動型広告を悪用。自分たちのサイトが上位に表示されるように仕組んでいた。とにかく早く解決したいとあせる被害者心理を巧みに突いたネット広告の裏技とは。小川恵理子

当社で解決できます

スマートフォンに1通のショートメールが届いた。開いてみると、有料動画の未納料金があるとの文字が表示された。

専門業者に相談する必要があると考え、インターネットで消費者生活センターなどと検索。すると、とある探偵業者のページが見つかった。

さっそく相談窓口として掲載されていた電話番号に電話すると、探偵業者からこう言われた。

相手が住所を突き止めて、債権回収のために自宅を訪問してきたりすることが多い

当社の方で解決できる。今後、そういう請求を一切来ないようにできる

被害者はその電話ですぐに契約し、5万4千円を指定された口座に振り込んだ。

だが、探偵業者の話は真っ赤な嘘だった。

探偵業者は結局、アダルトサイトの運営業者の所在地などの調査しか行わなかった。これが検察側の冒頭陳述で明らかにされた被害の1例だ。

詐取金半分を広告費に投入

詐欺容疑で摘発されたのは、東京都渋谷区の探偵業日本リサーチコンサルティングの男性経営者25と従業員の男2人の計3人。

3人は昨年9〜11月ごろ、アダルトサイトの架空請求トラブルの解決を装い、京都市右京区の男性会社員ら2人にお金を払ってもらえれば全て解決しますなどと嘘をつき、現金計4万6千円を振り込ませ、だまし取ったとして今年4月に逮捕された。

捜査関係者によると、経営者らは相談者から依頼を受けても、調査を行わなかったり、アダルトサイトの運営会社の住所を調べただけだったりしたという。

府警によると、経営者らの詐欺グループによる被害額は、昨年8月〜今年4月で、全国の約千人から約6500万円以上とみられる。

被害が多数に上った背景について、ある捜査員は検索連動型広告というネット広告の一種が悪用されたことで被害が広がったと指摘する。

検索連動型広告は、インターネットであるキーワードで検索をかけると、それに応じてサイトや商品などの広告が検索結果として表示される仕組み。

事件では、消費者センター消費生活センターなどのキーワードでネット検索すると、アダルト請求相談センター消費者トラブル5分で解決と記載した経営者らのサイトが上位に表示された。広告との記載もあったが、小さくて気づかなかったという。

検索サイトの運営会社に広告料をいくら払うかが、検索結果に影響するといい、経営者らは、だまし取った現金の約半分を広告料に回していたとされる。

ヤフーも対策進めたい

インターネット広告に詳しい北陸学院大の西村洋一教授心理学は検索連動型広告はテレビの広告などと異なり、誰でも参入しやすい。そうした特徴から犯罪に利用されてしまったのではと話す。

事件を受け、府警は検索大手に消費者センターなどのキーワードで検索した際、経営者らのサイトが表示されないように要請。あわせて、国民生活センターなどの公的機関が上位にくるよう求めた。

一方、検索大手のヤフーは事件を受け、不適切だと判断した類似業者の広告は検索結果の広告欄に表示されないよう対策を取った。

ヤフーの担当者は検索結果に信頼性を期待して利用してもらっているので、関係機関と協力して対策を進めたいと語る。

相談件数、増加の一途

被害者の多くは、アダルトサイトを開いて架空請求を受け、トラブル解決名目の詐欺に引っかかる結果になった。恥ずかしい誰にも相談できないでも、解決したい。わらにもすがる思いが、被害を拡大させたもう一つの要因だろう。

経営者らはホームページで相談窓口やすぐに解決したい方はコチラなどと、うたっていた。それを見てアクセスしてきた被害者には放っておいたら危ないと危機感をあおったり、もう請求が来ないようにできると安心感を与えたりして、契約に結びつけていた。

そもそも探偵業法では、探偵業は尾行や聞き込みなどの調査業務に限定されている。依頼者に代わって返金交渉や契約の解約交渉を行うことはできるはずもないのだが、経営者らは、探偵業者が行うのはあくまで調査にすぎないことは、説明していなかった。

アダルトサイトとのトラブル解決をうたう探偵業者に関する相談件数は増加の一途をたどっている。

国民生活センターによると、平成23年度は年間205件しかなく、25年度も582件だったが、翌26年度には3106件に急増。28年度は6622件と、5年前の32倍にまで増えている。

同センターの担当者は大前提としてアダルトサイトとのトラブルは、身に覚えがない限り無視してもかまわないが、相談は公的機関にするのが安全と呼びかけている。